2025年 年頭所感
新年あけましておめでとうございます。組合員の皆さま、賛助会員の皆さま、本年も宜しくお願い申し上げます。
さて、昨年の世界情勢は、長引くウクライナ紛争に加え中東情勢の悪化など地政学リスクの高まりがあるものの、高インフレの鎮静化や貿易の持ち直しなどを背景に、底堅い成長を維持しました。7月~9月期の実質GDPは、米国では前期比年率+2.8%と高い成長率を維持し、EUにおいても前期から成長率が加速した一方、中国は不動産市況の悪化などにより、消費が伸び悩み成長は鈍化傾向にあります。国内に目を向けると、同期の実質GDP成長率は前期比年率+0.9%と、2四半期連続のプラス成長となっています。こうした伸びは、6月~7月に行われた定額減税により所得が押し上げられた結果、個人消費が成長の牽引役になったと推測されます。
本年の世界経済は、高インフレの鎮静化に伴う利下げの継続などが予想され、緩やかな成長が続くと思われますが、第2次トランプ政権の政策が今後どのように世界経済に影響を及ぼすか注視が必要です。
業界環境として昨年の国内住宅需要は、資材の高騰に加え人手不足による人件費の高騰等により住宅価格は高止まり、1月から10月までの新設住宅着工戸数は微減の前年比96.4%、持家は前年比95.3%、分譲戸建は前年比88.2%と弱含みで推移しました。本年は、住宅産業界にとって大きな転機を迎える法律の改正があります。「4号特例の縮小」や「省エネ基準適合義務化」などにより、住宅の資産価値はあがり性能向上に繋がる一方、住宅価格の上昇に拍車をかける可能性もありますが、いずれの法律も脱炭素社会の実現に繋がる重要な法改正になり、建築コストの上昇はあるものの、資産価値が高く高性能な住宅投資に移行していくことが伺えます。
一方、国内の合板需要は、持家の減少に加え床面積が減少したことで需要は落ち込み、価格は不安定な状態が続きました。国産合板は生産調整を継続しているものの、需要側は当用買いを継続し市況は低迷しました。また輸入合板は、国内需要の低迷に加え為替相場の変動により先行き不透明感が漂い、国産合板同様に当用買いが継続されました。なお、昨年11月末に主要国内合板メーカーから合板価格の堅持が示されたこともあり、本年は需給バランスが保たれることに期待します。
このような環境のなか、日合商は合板をはじめとする建材需要の安定化や合法伐採木材等の普及・利用拡大に努めて参りました。本年は、改正クリーンウッド法が施行され、合法伐採木材の更なる利活用に向け拍車がかかります。住宅省エネ化への取り組みは勿論のこと、合法伐採木材等の利活用及び非住宅への取り組み拡大等、国の施策を見据えた取り組みを会員の皆さまと共に進めて参ります。
日合商の会勢強化につきましては、合法伐採木材の供給事業者認定取得のための新規加入がある一方、事業撤廃や合併等による退会により、組合員数は724社(2024年11月末日)となっています。引き続き、組合員・準会員・賛助会員の皆さまのご協力を仰ぎ、会勢強化への取り組みにむけて邁進していく所存です。
本年も、会員相互の「協調と連携」のもと、会員の皆様の事業拡大と強化に貢献し、共に成果を手に入れる年となることを祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。
2025年1月1日