事業者認定の背景
環境への取組み
日合商は、地球にやさしい合板・建材流通を目指してその活動を推進してまいりました。
その背景として、2001年、日本政府は環境問題対策の一環として、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)施行があります。国が物品やサービスを購入する際に、購入の必要性を十分考慮し、環境負荷ができるだけ小さく、環境負荷の低減に努める事業者から優先的に購入することにしました。このことは環境配慮型の市場を拡大し、持続可能な社会づくりを推進することになります。
【参考資料】
違法伐採対策
違法伐採や違法伐採木材の流通は、森林の有する多面的機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあります。
2005年7月のG8グレーンイーグルズ・サミットを受けて、まずは政府調達を通じて合法木材の利用を促進することとし、2006年に、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(グリーン購入法基本方針)において、紙類、オフィス家具、公共工事資材等の分野で、合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品を政府調達の対象とするよう明記しました。
上記方針に併せて、林野庁では、2006年に「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成しました。
【参考サイト】
林野庁 / クリーンウッド・ナビ / 環境省
【参考資料】
- 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12(2000)年法律第100号、通称「グリーン購入法」):林野庁HP
- 環境物品等の調達の推進に関する基本方針:環境省HP
- 木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン(平成18(2006)年2月公表):林野庁HP
- 森林・林業白書:林野庁HP
合法木材供給に向けた取り組み
木材の伐採地での適切な法律に基づいて適切な取り扱いがなされていることを消費者に知らせるため、林野庁は「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成しました。このガイドラインの中で合法性等の証明方法として新しく例示されたのが「業界団体の認定を得て事業者が行う証明方法」です。
ガイドラインでは、「伐採に当たって」の合法性を消費者に説明するため、木材の売買に携わる企業が「分別管理と合法証明の連鎖」をつくることとしています。
林野庁のガイドラインで新たに示された業界団体方式は、森林認証制度のCOC認証制度などと比べると業界団体の信頼性を根拠に組み立てられているのでコストが安く効率的です。 他方で業界の善意に頼って行われるこの方式で本当に信頼性のある合法木材が供給できるのか心配する向きもあります。そのため合法木材供給認定事業者から供給される合法木材が環境配慮型ビジネスや環境にこだわる消費者などに信頼を持って受け入れられるように業界をあげた努力が必要となっています。
日合商では、「違法伐採対策に関する自主的行動規範」「事業者認定審査委員会規約」を定め、会員の中から合法性等の証明の連鎖に参加する資格をもつ信頼できる事業者を合法木材供給事業者として認定します。その後、毎年の「合法性・持続可能性の証明された木材・木材製品の取扱実績報告」のほかに、原則三年に一度、認定事業者を対象とした「合法木材供給事業者研修会」及び「合法木材取扱書面調査」を実施し、信頼性の向上のためのフォロー努力を積み重ねています。
【参考サイト】
【参考資料】
「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」による合法伐採木材等
2016年5月、我が国では、政府調達のみならず民間需要においても、我が国又は原産国の法令に適合して伐採された木材及びその製品の流通及び利用の促進を図るため、議員立法により「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(クリーンウッド法)が成立・公布され、2017年5月に施行されました。
この法律の施行により、全ての事業者に合法伐採木材等を利用するよう努めることが求められ、特に「木材関連事業者」は、取り扱う木材等について「合法性の確認」等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなりました。
また、2023年4月26日には「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)」の一部改正法が成立し、同年5月8日に交付され、2025年4月1日に施行されます。今回の改正のポイントは次の通りですが、義務化され項目もあり合法伐採木材等の利活用を一般消費者まで幅広く周知すると共に、更なる取組への強化が伺えます。
(1)川上・水際の木材関連事業者(第1種木材関連事業者)は合法性の確認・記録の作成と保持・木材関連事業者への情報伝達の義務
(2)素材生産販売事業者は第1種木材関連事業者の求めに応じた情報提供の義務
(3)小売事業者を木材関連事業者に追加
(4)一定規模以上の木材等を取り扱う第1種木材関連事業者は、毎年1回取扱量を主務大臣に報告する義務
【参考サイト】
林野庁 / クリーンウッド・ナビ / クリーンウッド法の概要
【クリーンウッド法PR動画】
【参考資料】
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(平成28年法律第48号通称「クリーンウッド法」:林野庁HP
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律施行規則:林野庁HP
- 木材関連事業者の合法伐採木材等の利用の確保に関する判断の基準となるべき事項を定める省令:林野庁HP
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する基本方針:林野庁HP
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の手引き:林野庁HP
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律に係るQ&A:林野庁HP
- 「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」に基づく合法木材の普及に向けた家具に関するガイドライン
- クリーンウッド法の合法性の確認に活用可能な都道府県等による認証制度一覧(令和6年12月):林野庁HP
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)の概要と意義について:林野庁HP
- 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)の一部を改正する法律の概要:林野庁HP
【参考サイト】
【参考資料】
(参照:合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)の改正について, 3P/令和6年8月林野庁木材利用課)
<現行のクリーンウッド法における合法性証明方法>
現行の合法伐採木材等の流通及び利用促進に関する法律(クリーンウッド法)では、事業者が合法性確認を行うにあたり、林野庁ガイドラインの業界団体認定方式に基づく証明書を活用できることとなっています。
(参照:合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)の概要と意義について, 14P)
<改正クリーンウッド法における合法性の確認と、確認結果の情報伝達>
改正クリーンウッド法においては、第1種木材関連事業者が合法性の確認(義務化)を行い、その結果を第2種木材関連事業者に伝達する義務が生じます。また、第2種木材関連事業者は、第1種木材関連事業者から伝達された情報をそのまま、次の第2種木材関連事業者に伝達する努力義務が生じます。
(参照:全木連セミナー資料)
※改正前は、第2種木材関連事業者も合法性の確認を行う努力義務がありましたが、改正後は受け取った情報をそのまま次の事業者に伝えることになります。
<林野庁ガイドラインの証明制度とクリーンウッド法の違い>
<改正クリーンウッド法における原材料の証明>
改正クリーンウッド法においては、第1種木材関連事業者は原材料情報を収集・整理する義務が生じます。義務として収集すべき情報(原材料情報)は、樹種・伐採地域・証明書の3つになります。
その原材料情報の証明として活用できる証明書の中に、「木材・木材製品の合法性・持続可能性の証明のためのガイドラインにおける団体認証による木材に対する証明(大臣から者の指定を受けたもののみ)」/(日合商による団体認定等)が含まれますが、日合商も主務大臣から指定を受け告示がされました。クリーンウッド法原材料情報主務大臣告示
クリーンウッド法に基づく主務大臣が指定する者の指定基準等
改正クリーンウッド法における原材料情報の証明書<国産材/原材料>
<輸入材/原材料>
(参照:証明として活用できる情報の例)
森林資源とカーボンニュートラル
我が国の森林は、これまでの先人の努力等により、戦後造成された人工林を中心に蓄積量が増加してきました。多面的機能の継続的な発揮やSDGs(持続可能な開発目標)への関心にこたえるには、この豊富な森林資源を「伐って、使って、植える」という形で循環利用することが重要であります。
特に、地球温暖化の防止に関しては、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことの宣言もあり、森林整備による二酸化炭素吸収量の確保、炭素の貯蔵効果のある木材の利用拡大等による貢献が吸収源対策として一層必要となってきます。
【参考サイト】
【参考資料】
脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材利用の促進に関する法律
戦後植林された人工林資源が利用期を迎える中で、木材の利用を促進ことが地球温暖化防止や循環型社会の形成等に貢献することから、公共建築物等において木材利用を促進することを目的として2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が公布・施行されました。
その結果、公共建築物の木造率は低層の建築物を中心に増加、全国の低層の公共建築物の木造率は、2010年の17.9%から2021年の29.4%まで上昇しました。
さらに、木質耐火部材の開発、木造建築物の防耐火に係る基準の合理化、さらに低コスト・短工期での建設を可能にする部材や工法の開発が進んだことで、民間建築物においても木材利用に対する気運が高まってきました。
2021年、これらの気運を背景に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材利用の促進に関する法律」として改正されました。このため、木材利用が炭素の貯蔵を通じてカーボンニュートラルに資することに鑑み、林野庁により「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」が定められました。今後も官民問わず多様な形での木材の利用促進が期待されていますので、合法性の証明された木材(合板)の供給はますます重要になってゆきます。